8市町村10件を文化庁へ提案 世界遺産登録
- 掲載日
- 2006/11/28
本県絹産業遺産群の世界遺産登録運動で、県世界遺産推進室は二十七日、県内八市町村十件の建造物などによる世界遺産登録構想を確定した。県が事前に提示した有力候補地十三件のうち、地元市町村から提示通りの推薦があったのは七件だった。小寺弘之知事が二十九日、構想をまとめた「提案書」を近藤信司文化庁長官に手渡す。同庁は今月末まで、世界遺産を目指す全国の自治体からの提案書を受け付け、来年一月中旬に新たな世界遺産国内候補を選出する。
構想に入ったのは沼田市の「薄根の大クワ」など養蚕関連六件と、甘楽町の「旧甘楽社小幡組倉庫」など製糸関連二件、安中市の碓氷峠鉄道施設など流通関連二件の計十件。地元市町村が推薦し、県が「提案書」にまとめた。
有力候補地のうち、桐生市の桐生本町建造物群と高崎市の旧官営新町屑くず糸紡績所、伊勢崎市の島村養蚕農家群、安中市の碓氷社本社本館と郷原養蚕農家群は各市の推薦がなかった。甘楽町の小幡養蚕農家群は、地区内の旧甘楽社小幡組倉庫のみが推薦された。今後の登録運動で調整が行われる可能性もある。
提案書で県は、構想の名称を「富岡製糸場と絹産業遺産群―日本産業革命の原点」と設定、全国的に知名度の高い「旧官営富岡製糸場」を前面に出すとともに、ユネスコが求める「産業遺産」としての存在をアピールし、複数の遺産から成る「群」であることも強調している。
全国では「富士山」(山梨、静岡)や「縄文遺跡群」(青森)、「飛鳥地域」(奈良)などが世界遺産登録運動を進め、今月末までに十八前後の地域が世界遺産登録を求める提案書を文化庁に提出する見込み。
同庁の世界文化遺産特別委員会が自治体の提案書を審議し、来年一月中旬に世界遺産の国内候補「暫定リスト」登載物件を数件選ぶ。