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栃窪風穴を文化財指定 中之条町方針 冷風利用の天然蚕種貯蔵庫

近藤長官(右)に提案書を手渡す小寺知事
蚕種保管に適していた中之条町の「栃窪風穴」

中之条町は二十日、本県絹産業遺産の世界遺産登録運動で候補地の一つに挙げられている同町赤坂の「栃窪風穴(とちくぼふうけつ)」を町指定文化財にする方針を明らかにした。近く、同町文化財専門委員会に指定申請する。

同日の町議会一般質問で入内島道隆町長は「専門家の調査で貴重な絹産業遺産との報告を受けている」と答弁。町は昨年度、栃窪風穴周辺の土地を取得済みで町文化財に指定する準備を進めてきたという。

同文化財専門委の調査によると、「栃窪風穴」は谷間の中腹に石垣を組み、岩の間から吹き出す冷風を利用して「自然の冷蔵庫」として蚕種貯蔵庫にした施設。最下部に冬季のうちに地元住民が天然氷を敷き詰め、その上を吹き抜けてくる冷風は蚕種保管に最適だったという。

専門委は「冷蔵庫の無い時代、季節とともに気温が上昇するなかで蚕種のふ化を抑えるのは大変だった。年間五回もの養蚕を可能にした施設として重要」としている。

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