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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

養蚕指導の「高山社」紹介 藤岡で企画展

町田菊次郎の子孫宅で見つかった家の見取り図や養蚕の手引書
町田菊次郎の子孫宅で見つかった家の見取り図や養蚕の手引書

世界遺産登録の国内候補地に選定された「富岡製糸場と絹産業遺産群」の一つである「高山社発祥の地」(藤岡市高山)をはじめ、同市を拠点にした養蚕指導の教育組織「高山社」の企画展が三日から、同市白石の藤岡歴史館で開かれる。養蚕の近代化を進めた高山社の史料や養蚕道具など計九十点が公開される。二十五日まで。

高山社については、前身の高山組を創設した高山長五郎の生家が「発祥の地」として現存するほか、長五郎の子孫によって資料が県立歴史博物館に寄贈されている。今回は、長五郎の没後に高山社社長を務めた町田菊次郎の子孫から提供された史料などを展示する。

菊次郎の著作とみられる蚕の飼育法を記した冊子「高山社養蚕法案」には草稿本二冊も確認され、藤岡市教委は「時代の流れに合わせ、修正を加えたのだろう。飼育法の確立に試行錯誤していた様子がうかがえる」とみる。また、菊次郎の自宅見取り図からは、高山社の養蚕指導が建築技術にまで行き届いていたことが分かる。

菊次郎のひ孫にあたり、史料を提供した町田英子さん(75)=藤岡市本郷=は「父から高山社の史料は大切に保管するように言われてきた。養蚕をする家が少なくなり寂しい気がしていた中で、養蚕に関心を持ってもらえてうれしい」と話している。

市教委は高山社の実習地となった分教場をはじめ、高山社に関係する資料を探している。また、高山社発祥の地の見学について、「私有地なので敷地内に入らないように」と呼び掛けている。

期間中の十一日午後一時半から、県世界遺産推進室の松浦利隆室長の講演会「高山社の創成期について」が開かれる。

企画展は午前九時-午後四時。入館無料。五、十三、十九日は休館。問い合わせは、同歴史館(電話0274・22・6999)へ。

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