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速水堅曹題材に卒論 伝道師協会築比地さん 24日に法政大卒業

速水堅曹を題材に卒業論文をまとめ、法政大学を卒業する築比地さん
速水堅曹を題材に卒業論文をまとめ、法政大学を卒業する築比地さん

富岡製糸場世界遺産伝道師協会メンバーで、法政大学通信学部四年の築比地規雄さん(64)=太田市西本町=が、器械製糸の発展に尽くした前橋藩士、速水堅曹を題材にした卒業論文で卒業資格審査を通過し、二十四日に卒業式を迎える。古文書を読み解き、文章にまとめ上げた労作が評価を受け、自身や会の仲間は喜びに沸いている。

築比地さんは退職を機に、若いころから関心を持っていた郷土史を深く勉強しようと、出身大学である法政大の通信学部文学部史学科の三年に編入。さらに歴史好きを地域活動に生かすため、絹産業遺産群の世界遺産登録運動に取り組む同協会に入り、歴史研究をするグループの代表者となった。

速水は前橋藩士で、旧官営富岡製糸場の操業開始よりも二年早い一八七〇(明治三)年に藩営前橋製糸所を設立し、富岡製糸場や福島県の二本松製糸所の経営でも優れた手腕を発揮した人物。

グループは六人で月一回集まり、県立文書館に収蔵されている速水の日記を解読。築比地さんはこの活動と並行して速水の生い立ちや業績などを丹念に調べ、原稿用紙百三十枚以上にわたる論文にまとめ上げた。

築比地さんは速水について「藩から与えられた任務を忠実にこなしながら、専門の技術や経営方法を身に付け、日本の器械製糸発展に貢献した。シルクカントリー群馬の大黒柱といえる」と絶賛。今後は伝道師協会のグループで速水に関するさまざまな資料を調べ、本にまとめることを目標に据えている。

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