「地域の誇り再認識を」 中之条で世界遺産暫定リスト記念シンポ
- 掲載日
- 2007/03/21
吾妻郡の世界遺産候補地について語り合ったシンポジウム
県吾妻県民局主催の世界遺産暫定リスト登載記念シンポジウムが二十日、中之条町の吾妻郡学習センターで開かれ、産業遺産の研究者や地元の有識者らが、本県絹産業遺産群の価値や活用などについて意見を述べ合った。同郡からは冨沢家住宅と栃窪風穴、赤岩地区養蚕農家群の三カ所が県の世界遺産構想に加わっていることもあり、関心の高い聴衆二百人が客席を埋め、熱心に聞き入った。
基調講演は国立科学博物館産業技術史資料情報センターの清水慶一主幹が「日本産業革命の原点・上州の絹産業」と題して行い、「観光発展だけではなく、先祖が築いた歴史的な建物を地域の誇りとして再認識することに世界遺産の意義がある。これからは文化で地域づくりをする時代になる」と力強く語った。
シンポジウムでは清水主幹と赤岩重要伝統的建造物群保存活性化委員会の篠原辰夫会長、中之条町歴史民俗資料館の唐沢定市館長、吾妻観光連盟の宮崎範一会長がパネリストとなり、県世界遺産推進室の松浦利隆室長が進行役を務めた。
唐沢館長は「まず住民が遺産の価値を見いだし、来訪者に伝えるべき」、篠原会長は「来訪者に感動や癒やしを与えるのは赤岩の建物だけではなく、そこに住む人間」と、ともに住民の取り組みの重要性を指摘。宮崎会長は「ベストセラーよりロングセラーに」と息の長い保存と観光活用の大切さを訴えた。
シンポジウムは絹にかかわる県内の遺産十カ所で構成する「富岡製糸場と絹産業遺産群」が一月、世界遺産の候補地「暫定リスト」に入ることが決まったことを受けて開催された。二月の高崎に続き二会場目。