達磨窯の復元間近 伝統のいぶし瓦用 甘楽で5月に火入れ式
- 掲載日
- 2007/03/25
仕上げの作業が進む達磨窯
いぶし瓦を焼く伝統的な達磨(だるま)窯が、甘楽町の甘楽ふるさと館わきにまもなく完成し、五月十二日に火入れ式が行われる。地元の甘楽福島瓦協同組合(横山一美理事長)が実行委員会(小林保委員長)を組織して復元を進めてきたもので、土の窯本体の大部分に加え、窯を覆う上屋も県産材を使った“純本県製”。地元で活用への期待が高まっている。
窯は焚(た)き口のある短辺が三・一メートル、長辺六・四メートル、高く盛り上がった中央部の排煙窓までの高さは二・三メートル。両端に焚き口があり、くべた薪(まき)が燃焼室で炎となって、中央の焼成室に送り込まれる。
焚き口だけは市販の耐火れんがだが、土は藤岡から運び、窯の一部に使う古瓦、わらも県内で調達。上屋は県産のカラマツ、スギを使った。瓦の素材も近郊の粘土を中心に考えていくという。
小林さんによると、一度に瓦七、八百枚を焼ける。宿泊体験型施設のふるさと館は「滞在者に瓦作りを経験してもらう」考えで、観光振興に積極的な活用を図る。小林さんは「小中学生に手形を押した瓦を作ってもらうなど、体験学習に役立てば」という。
世界遺産の暫定リスト記載が決まった旧官営富岡製糸場(富岡市)の屋根瓦は、れんがとともに同町福島地区で焼いたものが使われている。窯の復元は製糸場の補修用瓦生産を狙いに始まった。
達磨窯は十六世紀以降広がったが、実行委によると、今も使っているのは県内二基を含め全国で三基。通気性に優れ、大量生産にない味わいを持つ瓦を伝えていこうと昨年十月に着工した。
実行委は運営に必要なボランティアや寄付金とともに、瓦作りの体験希望者を募る。問い合わせは小林さん(電話0274・74・7701)へ。