養蚕の担い手育成 飼育技術を手ほどき 団塊世代ら参入支援 県が初の体験講座
- 掲載日
- 2007/05/27
養蚕業への新規従事者を生み出すため、県蚕糸技術センター(前橋市総社町総社)は本年度、養蚕の飼育技術を伝授する体験講座を初めて開催する。研究機関のノウハウを現場に生かす狙いで今年春に組織再編した同センターの中心事業。団塊世代の定年退職者や農村への移住希望者ら養蚕未経験者を対象に、基礎から手ほどきし、養蚕農家への第一歩をサポートする。
講座名は「絹へのふれあい体験学習講座」。同センターへ二十日間通い、クワの収穫、蚕の育て方、上蔟(じょうぞく)の手順など、養蚕農家として必要な知識や技術を、同センター職員の指導で体得できる。七月三日―八月十日の前期と、九月四日―十月十二日の後期の二回実施し、受講者五人ずつを今月末まで募集する。
受講後、自宅に飼育場所や養蚕道具がない場合は、養蚕をやめた農家との蚕室の貸し借り、蚕具の売買を仲介することも検討している。
県蚕糸園芸課によると、県内養蚕農家数は一九五八(昭和三十三)年に戦後最多の八万四千四百七十戸を記録したものの、その後は繭価格の低下などで四十八年連続で減少を続けている。昨年は前年より百戸近く減り、五百五十七戸。
世界遺産登録運動で本県の絹産業遺産群が注目されているものの、現役の養蚕業は高齢化が進み、新規従事者はほとんどない「危機的状態」(同センター)が続いている。
同センターは養蚕農家を育成し、戸数の減少に歯止めをかけるため、今年四月に研究中心だった旧県蚕業試験場から組織改編。一般に飼育技術を伝える「技術支援グループ」を立ち上げた。今回の講座が中心事業となる。
同グループの松井英雄主席研究員は「養蚕は世界遺産運動とも結び付く群馬の文化。皆さんの手で継承してほしい」と話している。
同センターは養蚕と同じ期間で、上州座繰りの体験講座も開催する。座繰り製糸家、染織作家を目指す人などを対象に、今月末まで受講者を募っている。