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写真200枚在りし日の櫓養蚕農家、重伝建調査資料にと木暮さん寄贈

学校の校舎のような島村蚕種=1987年9月撮影
学校の校舎のような島村蚕種=1987年9月撮影

二十年前の大型養蚕農家の「櫓(やぐら)」を写した写真約二百枚が、伊勢崎市内で保存されていることが分かり、二十七日までに市教委に寄贈された。撮影したのは同市太田町の木暮末吉さん(85)で、同市境島村を中心に市南部や東部、隣接する前橋市南東部の養蚕農家約七十棟の櫓を写真に収めた。市教委は境島村地区で国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)=豆字典=の選定も視野に入れて進めている調査にも役立つ貴重な資料と説明している。

写真は一九八三(昭和五十八)年から八七年までの五年間に撮影された。カメラを趣味にしていた木暮さんが当時、老朽化で朽ち果てていく養蚕農家を目にして、「何とか写真で残したい」と撮影を始めた。精密金型製造の仕事のない休日ごとに自転車で回ったという。

櫓は境島村出身の田島弥平が養蚕の技術書「養蚕新論」で唱えた、できる限り自然に任せる蚕の飼育方法「清涼育」の思想に基づいた構造で、通気をよくするために屋根の頂に設けられた小窓。「高窓」や「煙窓」など地域によって名称は異なる。

写真に収められた櫓は、一つのものから四つのものまであり、屋根の端から端まで小窓を設けた総櫓(そうやぐら)もある。瓦に改修される前のかやぶき屋根にある櫓や、同市境島村に八八年まであった島村蚕種協同組合(八〇年から島村蚕種株式会社)の学校の校舎のような二階建ての屋根に作られた三つの櫓を撮影した写真もある。

木暮さんは「櫓を備えた大型養蚕農家は群馬というより日本の財産。この写真も有効活用してほしい」と市教委の今後の活用に期待している。

市教委は、世界遺産の暫定リストへの記載が決まった本県の絹産業遺産群に、境島村地区の養蚕農家群の推薦を見合わせたが、同地区で国の重伝建の選定も視野に入れて蚕種をふ化させる催青所(さいせいじょ)と島村教会の調査を実施している。市教委は「現存する建物と比較したり、養蚕農家を復元する場合には貴重な資料になる」と話している。

豆字典
重要伝統的建造物群保存地区 歴史ある建物と町並みについて、国が実際の生活の舞台のまま保存する取り組みを進める地区として選定する。本県では昨年7月、養蚕で栄えた農村風景が残る六合村赤岩地区が選定されている。
富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)