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明治家屋調査へ 富岡行政事務所 山村文化価値評価で 南牧・星尾地区

調査が始まった星尾地区の家屋(富岡行政事務所提供)
調査が始まった星尾地区の家屋(富岡行政事務所提供)

明治時代の家屋が立ち並ぶ南牧村星尾地区の文化財としての価値を評価するため、県の西部県民局富岡行政事務所は三十日、現地調査を始めた。養蚕やこんにゃくのほか、コウゾを原料とした和紙生産を生活の糧としてきた同地区の山村文化に光を当て、地域活性化につなげる。

対象は同地区の仲庭集落。十軒前後の構造や状態を調べ、県内の他の歴史的建造物と比較、年内に報告書をまとめる。同事務所はこれまでに三回の説明会を実施し、住民の了解を得ている。

家屋は、蚕室のほか、コウゾやコンニャクイモ、桑の葉などを干すために使用されていたとみられる「カズカケ」(カズはコウゾの方言)と呼ばれる縁側があることなどが特徴。事前調査によると、同地区では明治二十年ごろに大火事があり、大半の家屋がその際に再建されたとみられる。

同日は調査員十二人が四班に分かれ二軒の建物の配置や間取りを調べた。どの部屋でどんな作業を行っていたかを住民から聞き取りしたほか、建造年月日などを示す資料収集を行った。

同地区には、明治期に築かれた石垣や段々畑、蚕種貯蔵用の風穴などがある。同事務所は「山村の営みにスポットを当て、集落の文化財的価値を明らかにしたい」としている。

村は「過疎が深刻となっており、活性化のきっかけになってほしい」と期待。県の調査を機に、風穴をはじめとした村の文化・観光資源や、当時の産業などの研究を進める方針。

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