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伝統技術と文化を維持 桑や蚕の気持ちもで世話 藤枝 貴和さん(64)

紅葉山御養蚕所主任に就任した藤枝 貴和さん
紅葉山御養蚕所主任に就任した 藤枝 貴和さん

皇居の紅葉山御養蚕所の主任に、一日付で就任した。今月中旬から七月上旬にかけて、皇后さまとともに蚕を飼育する。「大変なプレッシャーだけれども一生懸命やる。養蚕という伝統技術と文化を維持するため、群馬で身に付けたことを生かしたい」と、大役に気を引き締めている。

蚕糸業の技師として県に三十七年間在職、うち三十五年間は県蚕業試験場(現在の県蚕糸技術センター)に在籍した。専門は蚕品種の維持や改良。同僚と協力して「世紀二一」「ぐんま200」などの群馬オリジナル蚕品種を開発した。

長年の経験であらためて感じていることは「蚕は生き物」ということ。毎年生まれてくるたくさんの蚕の中には、育ちの悪いものもあるが、「自然界が急変した時に、そういう蚕が適応できるかもしれない。良い蚕ばかりでは駄目。全体としてバランスが取れていることが大切」と語る。

昨年と一昨年も、主任見習いとして紅葉山御養蚕所の飼育に携わった。若い助手たちには、「桑の気持ちになって桑を収穫し、蚕の気持ちになって蚕を世話しなさい」と助言している。「蚕の視点になることで、気付くこともある。蚕を気遣う優しい気持ちは、きっと蚕に伝わる」からだ。

掃き立ては十三日ごろの予定。全国養蚕農家の期待を背負って、泊まり込みで世話をする。

兵庫県生まれ。信州大繊維学部卒。1967年に本県職員となり、県蚕業試験場の要職を経て、2004年に同場長として定年退職。前橋市国領町。

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