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皇后さま蚕に桑やり 絹糸で巻物の表紙修復

蚕に桑の葉を与える「給桑」の作業をされる皇后さま。右は藤枝主任29日午前、皇居、紅葉山御養蚕所(宮内庁提供)
蚕に桑の葉を与える「給桑」の作業をされる皇后さま。右は藤枝主任
29日午前、皇居、紅葉山御養蚕所(宮内庁提供)

皇后さまは二十九日、皇居・紅葉山御養蚕所で、蚕に桑の葉を与える給桑(きゅうそう)の作業をされた。

毎年の恒例行事だが、今年は五月に欧州訪問があったため約一月遅れ。皇后さまは体長約五センチに育った日本純産種の蚕「小石丸」らに桑の葉を一枚一枚与えた。

歴代皇后の育てた蚕がつくる繭は絹糸となって宝物の修復などに利用されており、絵巻物の表紙の修復にも使われている。

修復が進んでいるのは鎌倉時代の絵巻物「春日権現験記絵(かすがごんげんけんきえ)」。全二十巻のうち三巻の修復がこのほど終わり、二十八日に天皇、皇后両陛下が皇居・御所で見学された。

巻物の外側を包む表紙の痛みが激しいため、新たに表紙を作って交換。この際の原材料として皇居東御苑の「三の丸尚蔵館」が小石丸の繭約四十キロを皇后さまから受け取り、絹織物にしていた。

同御養蚕所主任の藤枝貴和さん(64)=前橋市国領町=は「蚕はよく桑を食べており、生育は順調」と話している。

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