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製糸格付帳を寄託 桐生の森村さん

社員名と見られる記載がある格付帳
社員名と見られる記載がある格付帳

明治・大正期の生糸商標八百五十二枚の張られた「全國製絲格付帳」を、桐生市元宿町、ギャラリー経営、森村秀生さん(57)が二十三日までに、富岡市立美術博物館(今井幹夫館長)へ寄託した。同博物館は「内容が豊富で商標の保存状態も良く、貴重な資料。各製糸会社の特性も調べて研究に活用したい」としている。

格付帳は、東北から九州まで、各地の製糸会社・組合などの商標が張り付けてある。旧官営富岡製糸場、南三社の旧甘楽社、旧下仁田社、旧碓氷社など、県内関係の商標も多い。

最初のページに「大正拾年(一九二一年) 横濱日本絹撚商会 在勤中製本 下山」、表紙に社員名とみられる「下山嘉一」の記載がある。

日本絹撚商会は、日本絹撚株式会社の販売機関として一九一八年設立。桐生市内に本社を置き、撚糸(ねんし)販売や原料買い入れ、生糸の中継ぎ業を手掛け、二二年に株式会社に吸収合併された。冊子作成の経緯は分かっていないが、同館は商会が生糸の品質を知る目安に使用したのではないかとみている。

格付帳は森村さんが一年半ほど前に市内の美術品業者から入手。内容を調べて製糸に関係することが分かり「さらに研究してほしい」と、富岡製糸場の地元の同館に寄託した。同館は内容を精査し、本年度収蔵品として展示を検討する。

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