上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

上毛新聞社Presents
「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

《シルクカントリーin赤岩》次代へつなぐ絹文化 世界遺産見据え、意見交換 きょうまで各種イベント 六合・赤岩地区

世界遺産に向けた赤岩地区の課題を話し合ったシンポジウム=六合村保健センター
世界遺産に向けた赤岩地区の課題を話し合ったシンポジウム=六合村保健センター

絹の歴史や文化を生かした地域づくりを考える「シルクカントリーin赤岩」が二十五日、六合村赤岩の村保健センターを主会場に始まり、シンポジウムや養蚕体験など多彩なイベントが行われた。シンポジウムでは、世界遺産本登録を見据えた同地区の将来像をめぐり、地元住民代表や専門家らが意見交換。見学者への対応や新しいタイプの体験事業の提案、建物だけでなく地域の伝統や「住民の気持ち」まで含めた保護の必要性―などの意見が相次いだ。

シンポジウムでは、まず元文化庁長官の川村恒明さんが記念講演し、世界遺産の考え方の変化などを解説。「世界遺産登録がゴールではない。それを未来にどう生かすか。そこに住む人たちで考え、地域づくりの基本にしてほしい」と呼び掛けた。

続いて「世界遺産へ 赤岩地区の地域づくり」をテーマに意見を交わした。パネリストは国立科学博物館の清水慶一主幹、作家の森まゆみさん、赤岩重要伝統的建造物群保存活性化委員会の篠原辰夫会長、県世界遺産推進室の松浦利隆室長の四人。上毛新聞社の武藤洋一編集局長がコーディネーターを務めた。

同地区は本県の世界遺産構想「富岡製糸場と絹産業遺産群」に加わっており、今後、見学者の急増が予想される。清水主幹は、都会人が求めている農作業や養蚕体験に、現在の観光産業が対応していないと指摘。その上で「赤岩には、経済優先の社会では失われたものが残っている。それが人を呼び寄せる資源になる」とした。

森さんは体験事業に言及。「わずかな時間の体験では、本当の大変さは分からない。一歩、突っ込んで、地区に訪れた人を“こき使う”くらいの体験が必要」と語った。これを受けて、篠原会長は「大豆の種まきや収穫だけでなく、冬場の凍み豆腐づくりの体験も検討したい」と述べた。

一方、見学者が急増した際の課題について森さんは「今は意識の高い人が来ているが、そうでない人が来るようになったとき、住民の意識が崩れない仕組みを作っておくことも必要」との考えを示した。

世界遺産登録を見据えた同地区の地域づくりの基本的な考え方について、松浦室長は「文化財の活用が大事とされるが、基本は保存。ただ、建物だけでなく、住民の気持ちや伝統、つながりを保存することも考えなければならない」と指摘。さらに「これは赤岩だけのことではなく、他の地域についても言える」とし、県全体の地域づくりにも通じると強調した。

イベントは、県とフィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」推進委員会が、県内の世界遺産候補地などで継続的に行う地域密着型事業の第一弾。二十六日は、体験イベントのほか、同地区をめぐりながら句を詠む俳句ラリーや入船亭扇橋さんらが出演する寄席が開かれる。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)