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日本伝統工芸展 師弟3人ともに入選 弟子の愛郎さん新人賞も 高崎の藍田染工

3人そろっての日本伝統工芸展入選を喜ぶ愛郎さんと正雄さん、菊池さん(左から)
3人そろっての日本伝統工芸展入選を喜ぶ愛郎さんと正雄さん、菊池さん(左から)

第五十四回日本伝統工芸展の入賞、入選者が十四日までに決まり、高崎市足門町の染色工房「藍田染工」の藍田正雄さん(67)と弟子の藍田愛郎さん(29)=本名・田中愛郎、同市鼻高町=、菊池宏美さん(40)=伊勢崎市連取町=が、三人そろって入選する快挙を達成した。愛郎さんは日本工芸会新人賞も受賞した。

同工房は、伝統的な型紙を使って江戸小紋と呼ばれる細やかな柄を絹の生地に染めている。

愛郎さんは修業八年目。二〇〇五年から同展に連続入選しており三回目。今年は極めて難しいとされる波模様「二ツ割よろけ毛万(けまん)」の着尺に挑戦した。

新人賞受賞に愛郎さんは「一本一本の波線をきれいに出すのが難しかったが、型紙を作った先人の思いを表現できた手応えはあった。技術を教え、挑戦させてくれる親方のおかげ」と語る。

三回目の出品で初入選した菊池さんは、昨年落選した小さな卵模様の型紙「うずら波」の着尺に再挑戦。「今年はキキョウ色(紺と紫の中間色)のイメージが沸き、その通りに染めたのが良かったのかも」と喜ぶ。筆で色合いを修正する「地直し」工程は通常十日間で終わるが、菊池さんは一カ月かけたという。

入選三十一回目となる正雄さんは「日本を代表する展覧会で同じ工房から三人が入選した話は聞いたことがないので、私自身も驚いている。伝統をわきまえて、本当の江戸小紋を作ったことを評価してもらえた」と、まな弟子の成長に目を細めている。

同展は日本工芸会や文化庁などが主催。今年は染織、陶芸、金工など七分野に計二千二百十七点が出品され、染織百点を含む計七百四十五点が入選した。本県からは三人のほか、木竹工分野で安中市の任性珍さん、甘楽町の須田堅司さんの二人も入選した。

新人賞は四十五歳以下、または応募五回以下の全分野の作家を対象に、毎年三人が選ばれている。

入賞、入選作品は十八日から三十日まで、東京・日本橋三越本店に展示される。

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