養蚕の普及改良に汗 蚕業試験場の技術生かす問題山積も意欲 ネパールで清水さん(渋川)
- 掲載日
- 2007/11/01
ネパールの農家に養蚕技術を教える清水さん
渋川市赤城町三原田の清水治さん(61)が、発展途上国ネパールに養蚕を根付かせようと奮闘している。国際協力機構(JICA)のスタッフとして同国に赴任して十カ月の間に、農家を集めた研修や繭乾燥施設の建設などを行ったが、「飼育環境が不衛生」「生糸需要がない」など問題は山積している。清水さんは現在一時帰国しているが、四日には再びネパールへ向かう。
清水さんは〇六年春に県蚕業試験場(現県蚕糸技術センター)を定年退職。本県で培った養蚕技術を生かしてネパールの貧しい農村を支援しようと、昨年十二月から二年間の予定で同国を訪れている。
同国では水不足のために蚕室を洗えない不衛生な農家や、蚕を大量に飼いすぎて途中で桑が足りなくなってしまう無計画な農家も珍しくないという。生産した繭は質が悪くて買い手がつかず、国の倉庫に眠ってしまっていることも大きな問題となっている。
こうした状況を改善するため、清水さんは十月上旬に各地のリーダー的な農家二十人を集めて研修を実施、三日間にわたって蚕の正しい飼い方の知識を伝えた。
ほかにも繭乾燥所や共同稚蚕飼育所の建設、水不足の村への水道パイプの提供など多彩な活動をしている。今後は機屋への生糸の売り込み、モデル蚕室の建設などを考えている。
約三週間の一時帰国中も、中之条町の養蚕農家で「わらまぶし」を作る技術を学ぶなど、ネパールで生かせる技術の習得に励んでいる。清水さんは「今まで絹産業がなかった国に広めているので難しい問題が多い。前任者らが指導した飼育技術は少しずつ根付いているので一層努力したい」と意欲を燃やしている。