「アジア産業革命の地」 元トヨタ常務坪井さん講演 富岡製糸場を分析 県庁
- 掲載日
- 2007/12/06
「富岡製糸場を造った先人の夢を、再び現代に」と熱く語る坪井さん
元トヨタ自動車工業常務の坪井珍彦さん(82)が四日、前橋・県庁で「産業遺産の保存と活用とその現代から見た視点」と題して講演した。産業人としての立場で本県の世界遺産登録運動を分析し、「富岡製糸場は現代の労務管理の要諦(ようてい)。アジアの産業革命の地」と語った
講演は県などの主催。県内十カ所で構成する「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産暫定リスト入りしたことを記念した企画で、全六回の最終回。
坪井さんはトヨタの労務課長時代に、会社と労働組合の協調路線を築くなどし、労務管理の専門知識を持っている。技術や労務管理の面から同製糸場について調べたこともある。
同製糸場では、勤務途中に休憩時間があり、週一日の休みも決まっていたことなどに触れ、「当時としては画期的。労務管理の始まり」と指摘。「工女の回想録を読むと、西洋の制度に日本的な温かさを取り入れた“家族主義”の経営が感じられる」と話した。
世界遺産登録運動については「富岡製糸場を造った先人の心意気を、観光や地域活性化に生かしてほしい」と激励した。