「白川郷(岐阜)に匹敵」 伝建設定へ協議勧める 南牧仲庭集落調査報告会
- 掲載日
- 2008/02/09
調査結果の概要が発表された報告会
西部県民局富岡行政事務所は八日、南牧村星尾公民館で、地元の星尾地区仲庭集落の建造物群調査報告会を開いた。江戸時代末期から戦前の養蚕農家群について、江面嗣人・岡山理科大教授が「白川村(岐阜県)の合掌造り集落にも匹敵する一級品」と絶賛。同様の周辺集落も視野に、伝統的建造物群保存地区(伝建)設定に向けた協議開始を住民らに強く勧めた。
仲庭集落は、傾斜地の石垣上に養蚕農家群が密集、急しゅんな周辺斜面の石垣上には段々畑が痕跡をとどめている。
江面教授は講演で「当時の建物が90%以上で、阻害する新たな建物が少ない」と、良好な保存状態を高く評価。赤岩地区(六合村)を掘り起こすなど、文化庁調査官当時に全国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定に携わった経験を基に「住民合意が形成され、調査・手続きを進めれば、重伝建になる」と太鼓判を押した。
世界遺産登録を目指す本県の絹産業遺産群の一角ととらえ、養蚕、製糸の生産現場として保全していくよう持論を展開。住民と市町村が主体的となって行う外観保存などを支援する伝建制度の仕組みを解説した。
集落の掛川孝さん(78)は「自分たちの代で話を進めなくてはならない」と話していた。
仲庭集落は昨年、同行政事務所が現住世帯のほぼ半数にあたる十一戸を抽出、山間地の景観形成建造物群として調査した。報告会には、住民や村幹部、県と県教委の職員ら約五十人が出席した。