養蚕指導の功績後世に 世界遺産登録運動盛り上げ「考える会」設立へ 藤岡・高山社
- 掲載日
- 2008/03/04
高山長五郎が養蚕研究をした藤岡市の生家
明治、大正期に全国標準の養蚕技術を普及させた教育組織「高山社」(藤岡市)の功績を語り伝えるため、地元住民らが十七日、「高山社を考える会」を設立する。高山社の関連建造物は、世界遺産暫定リスト入りした本県の絹産業遺産群の一つで、登録実現と地域活性化につなげる。関係者は「藤岡の全市民に会員になってもらうつもりで活動していきたい」と意気込んでいる。
高山社は、現在の藤岡市高山に生まれた高山長五郎(一八三〇―八六年)が一八七〇(明治三)年ごろ、養蚕改良高山組として設立した。当時、蚕が病気で死んでしまい安定生産ができない中、蚕室の温度・湿度管理に着目した独自の飼育方法「清温育」を確立し指導。後に私立甲種高山社蚕業学校となり、全国から集まった生徒が優れた技術を学び、各地に普及させた。
長五郎が清温育の研究を進めた生家が現在、「高山社発祥の地」として絹産業遺産群に入っており、藤岡地域自治ネットワークと藤岡市が一昨年から、高山社にまつわる講演会を開催。好評を受けて、地元で世界遺産登録に向けた運動を盛り上げようと、市民有志が会の設立準備を進めてきた。発起人と役員合わせて約五十人で発足、一般会員を広く募集する。
同会は今後、同地の見学会や講演会、内部の勉強会などを予定している。会長に就任する小坂裕一郎さん(53)=同市藤岡=は「高山社の存在はまだまだ知られておらず、生糸の増産につながった清温育の素晴らしさを伝えたい」と語った。
同地の養蚕家屋に暮らす高山淑子さん(84)は「見学会に来た方には、知っている限りの話をしてあげたい」と歓迎している。
十七日午後六時半から、同市の藤岡商工会議所で設立総会と記念講演会が開かれ、NHK前橋放送局チーフプロデューサーの佐滝剛弘さんが「世界遺産を基本とする街づくり」をテーマに講演する。問い合わせ、会員の申し込みは同会議所内の事務局(電話0274・22・1230)へ。