保全の必要性助言 整備活用委で仏専門家 富岡製糸場
- 掲載日
- 2008/03/11
歴史的建造物の活用について持論を述べるフランスの専門家ら
富岡市の旧官営富岡製糸場で九日、製糸場整備活用専門委員会(委員長・斎藤英俊筑波大大学院教授)が開かれた。産業遺産などの活用に積極的なフランスの専門家三人が実例など紹介しながら、同委が策定する整備活用計画の方向性や景観上の保全の必要性などを助言した。
会では、まず仏文化省のジェラール・グダル氏が、僧院の個室をアーティストに貸し出している事例などを挙げ、歴史的遺産が音楽、建築などテーマ別の文化センターに活用されていることを説明。「内部で創造的活動が起きていることが大事」と強調した。
産業遺産活用を進めるルベ市のクリスティーヌ・アヴェルラン氏は、製糸場の東西繭倉庫のような長大な空間の活用法として「スペースに仕切り、アウトレット施設に使っている例はあるが、地域のニーズ次第」とアドバイス。
改変が加わった建造物の復元に対する考えを尋ねた委員には、仏農家協会のトニー・マルシャル氏が「その時々に施された改造も、歴史の一側面として考慮しなくてはいけない」と答えていた。
三人は国内各地を視察、都内で歴史的建造物活用のシンポジウムに出席し、製糸場を訪れた。