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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

「保存状態は卓越」 英政府機関委員 富岡でフォーラム本県絹産業の“資産” 世界遺産登録へ「官民で協力を」

富岡市内で開かれた世界遺産フォーラム
富岡市内で開かれた世界遺産フォーラム

本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に向け、産業遺産の保存・活用を学ぶ文化庁などの「世界遺産フォーラム」が二十日、富岡市内のホテルで開かれた。絹産業遺産群を構成する資産の視察などを基に、国内外の専門家六人が意見交換し、ネットワークとしての遺産群の価値や保存状態を高く評価。行政と地域住民のパートナーシップ確立の必要性などを指摘した。

本県の絹産業遺産群と同様に、広域で繊維産業遺産を含む「ダーベント渓谷の工場群」(英国)のディレクター、クリストファー・チャールトン氏らがパネリストを務めた。

チャールトン氏は英国の産業遺産で地域ボランティアが果たす役割の大きさに触れ、協働の重要性を強調。地域合意が形成されず、十分に保全されなかった例も挙げ「多額の投資をするよりも、ボランティアをリクルートする方が深い理解が広がる」と述べた。

同氏はさらに「桐生のように(産業遺産を)保持して機械を動かし、世界に製品を送り出しているのは素晴らしい」と、本県の絹産業全体を評価。英政府機関の産業遺産委員、マイルズ・オグリソープ氏は「遺産の状態は卓越している。絹産業が担った日本の近代化は、世界にとっても大切だった」と述べ、世界遺産認定の要件を備えているとの見方を示した。

日本側パネリストの石原征明・前橋国際大名誉教授は蚕種製造を起点とする絹産業の広がり、斎藤英俊・筑波大大学院教授(富岡製糸場整備活用専門委員長)は、都市と工場の関係を踏まえた生産プロセスの明確化などに言及。コーディネーターの清水慶一・国立科学博物館主幹は「遺産の保存・活用を通じた地域整備や活性化が重要」とまとめた。意見交換に先立って、海外研究者三人が講演。世界遺産委員会ケニア代表団のジョージ・オケロ・アブング氏が遺産の保存・継承に併せた多面的な活用と効果を解説した。

フォーラムには、一般県民と県、市町村関係者ら二百人が出席した。

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