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着物への思い語る 開館10周年で立松和平さん 日本絹の里 高崎

講演する立松さん
講演する立松さん

絹にまつわる歴史や技術を紹介している「日本絹の里」は二十六日、高崎市金古町の同館で開館十周年を記念した講演会を開いた。講演会では、作家の立松和平さんが「日本の染め織り人を訪ねて」と題して講演、織物や養蚕に込められた日本人の思いなどを語った。

立松さんは一九四七年、栃木県生まれ。早稲田大を卒業後、宇都宮市役所勤務などを経て、七九年から文筆活動に専念。八〇年に小説「遠雷」で野間文芸新人賞を受賞した。近年は環境問題に取り組むとともに、着物や染色に関するエッセーなども出版している。

この日の講演で立松さんは、航海の道しるべとなる星を織り込むという沖縄・与那国島の機織りなどを紹介。「着物には『誰もが幸せであるように』という織る人の祈りが込められている」と語った。

さらに、蚕が糸を吐き自分の身を包む姿は「生きながら仏になる即身仏の姿。とても神々しい生き物」と持論を展開。講演の最後には「美しい着物も『農』、つまり土から生まれる。人間も土の上に立って生きていることを忘れてはいけない」などと話した。

会場には約百二十人が詰め掛け、立松さんの話に熱心に聞き入っていた。

二十七日午後一時半からは、法政大学教授で日本近世文化やアジア比較文化が専門の田中優子さんが「日本の着物文化を考える」と題して講演する。

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