産業分野登録推進を ユネスコの松浦事務局長 世界遺産で提案
- 掲載日
- 2008/08/30
インタビューに答えるユネスコの松浦晃一郎事務局長
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は二十九日、都内でインタビューに応じ、今後の日本の世界文化遺産登録について「まだ登録のない産業分野からの登録を進めるべきだ」と提案。特に遺産候補としてユネスコの暫定リストに載っている富岡市の旧官営富岡製糸場を「いい候補だ」と高く評価した。
◎富岡製糸場 「いい候補」と評価
今年七月のユネスコ世界遺産委員会で日本の候補として初めて登録が見送られた「平泉の文化遺産」(岩手県)は「二〇一一年には登録される可能性が高い」とした。
松浦事務局長は、ユネスコ世界遺産委員会の近年の傾向について「単独で登録可能な建造物などは出尽くしたとの認識が広がっている」と説明、今後は同種の遺産をまとめて登録する「シリアルノミネーション」を活用すべきだと提案した。
富岡製糸場と絹産業遺産群の登録推進をめぐっては、大沢正明知事が六月、パリのユネスコ本部で松浦事務局長を訪問。七月には、同遺産群に加わっていない高崎、桐生、伊勢崎三市を含めた十一市町村長を集めて会議を開いた。九月上旬にも県と十一市町村の事務方協議を始め、構成資産の拡大などを模索する。
松浦事務局長の評価を受け、県世界遺産推進室の松浦利隆室長は「市町村が強い連携を図ろうとしている時に、先が明るくなる話はとてもありがたい」と歓迎。世界遺産登録が延期された平泉の文化遺産(岩手県)を引き合いに「平泉ショックで不安を覚えた県民も多いだろうが、自信を持って運動を進めたい」と話した。