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織物の魅力や技伝え20年 桐生織塾が来春閉鎖 「シンボル」惜しむ声 主宰の武藤さん引退

来年3月に活動をストップすることになった桐生織塾
来年3月に活動をストップすることになった桐生織塾

さまざまな織物や織物の技術を伝えてきた桐生市梅田町の桐生織塾が来年三月末で活動をストップすることが、三日分かった。同織塾を主宰する武藤和夫さん(77)=同市西久方町=が八月、健康を理由に運営を続けられない意向を市に伝え、同日開かれた市工房推進協議会で了承された。後継者も見当たらないことから、織物のまちのシンボル的存在として活動してきた同織塾は約二十年の歴史に幕を引く。

桐生織塾は一九八九(平成元)年三月、同協議会が借り上げた家屋などを個人や団体に貸し出す市創作工房の第一号として誕生。武藤さんが収集した縞(しま)、紬(つむぎ)、絣(かすり)などの織物を紹介する企画展を毎年開いてきたほか、織物に関心を持つ市民らに手機機を使って織の技も伝えてきた。

運営は、斜陽産業と言われる織物の魅力や技法を伝承することに力点を置いていた。県繊維試験場などに勤務し、織物保存に情熱を燃やしてきた武藤さんは「人から人へ伝えるのが大切だが、織物と道具が残っていればなくなった織物も復活させられる」として、収集にも力を入れていた。

病気のため発声が不自由になりながらも、織塾で学んだ“卒業生”や多くの仲間に支えられて七年近く、企画展などを欠かさず続けてきており、武藤さんは「多くの仲間に感謝している」と振り返る。

盟友とも言える同市宮本町、元桐生織物協同組合事務局長、新井巧一さん(75)は「武藤さんの情熱が織塾を続けさせてきた。私自身もものづくりの面白さを教わった」と話す。

四十年の交流がある同市堤町、染織工芸作家、伊田郁子さん(60)は「技術的なこと、糸のことなどを相談した。織物全般を知る人が少なく、武藤さんに相談する人は全国にいる」と織塾の閉鎖を残念がる。

伝統産業の保存・育成を目指す同協議会は、創作工房の提供を事業の柱の一つにしてきた。彫刻家やデザイナーが同市東久方町ののこぎり屋根工場跡で活動するなどの実績も残したが、創作工房の活動は現在、桐生織塾だけとなっている。

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