上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

上毛新聞社Presents
「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

《伝統産業の息吹くっきり 「シルクカントリーin桐生」》 織物の魅力再発見 歴史的町並み歩こう 21、22日に桐生

メーン会場となる旧金谷レース工業
メーン会場となる旧金谷レース工業

織物生産で全国に名をはせ、町並みに歴史の香り漂う桐生市。二十一、二十二の両日に開かれるイベント「シルクカントリーin桐生」は、市内でも特に趣のある本町周辺が舞台だ。絹産業関係者や研究家を招き、建築物めぐりや俳句ラリー、シンポジウムなどを通して多くの人へ絹の物語を伝える。

イベントは桐生織物の魅力を再発見するとともに、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に向けた県民運動にもつなげていくのが狙い。

二十一日の俳句ラリーは織物の街をぶらりと歩きながら、ひらめいた一句を詠んでもらう。選者に俳優で俳人の小沢昭一さんを迎え、「小沢昭一的俳句のこころ」と題したトークが予定されている。

歴史的町並みに触れてもらう企画として同日、桐生建築探偵団を開催し、専門家が建築物の見方や写真の撮り方をアドバイス。のこぎり屋根工場などを巡る桐生の町並み解説も行われる。

桐生市内を着物姿で散策
桐生市内を着物姿で散策

二十二日は県内外から行政、織物産業、まちづくりなどさまざまな立場の人が集い、絹の国のこれからを語り合う。午前中は、神戸大大学院准教授の橋野知子さんや桐生の織物生産者によるシルク談義「桐生織の今、そして未来」。

午後のシンポジウム「重伝建の町がひらくシルクカントリーの未来」は、島根県・石見銀山生活文化研究所所長の松場登美さんが基調講演した後、松場さんや亀山豊文桐生市長ら五人が意見交換する。

写真家の清水襄さんが撮影した富岡製糸場と絹産業遺産群の写真展や、市内で進められている重要伝統的建造物群保存地区選定運動にまつわるパネル展などは、二日間にわたり開かれる。

世界遺産登録運動

二〇〇七年六月、世界遺産暫定リストに記載された「富岡製糸場と絹産業遺産群」。明治政府が産業の近代化を目指して設立した富岡製糸場など、蚕糸業にまつわる八市町村十カ所で構成されている。

世界遺産登録に向けた取り組みは、県が〇三年に決めたプロジェクト開始を機に具体化。これを受けて各地で地域住民の意識が高まり、積極的な運動が暫定リスト入りを後押しした。

現在は、世界遺産委員会に提出する推薦書作成に向け、構成資産の枠組みの検討段階にある。同遺産群には含まれていない桐生市本町一、二丁目建造物群、境島村養蚕農家群(伊勢崎市)、新町紡績所(高崎市)について、県と関係市町村は昨夏から、構成資産としての取り込みも視野に話し合いを進めている。

俳優・俳人 小沢昭一さんトーク

小沢昭一さん
小沢昭一さん

二十一日の俳句ラリー&トークは、俳優で俳人の小沢昭一さんを招く。小沢さんは一九二九年東京都生まれ。早稲田大在学中に俳優座養成所に入り、以来新劇や映画、テレビ、執筆など幅広く活躍している。TBSラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は七三年から続く長寿番組。

二〇〇四年には、明治時代の建築を保存・展示する「博物館明治村」(愛知県犬山市)の三代目村長に就任した。小沢さんの父が若いころに修業した高田小熊写真館が、明治村に移築保存されている縁もある。

俳句に関しては俳号「小沢変哲」を持ち、六九年には落語家の入船亭扇橋さんを宗匠に、永六輔さんらと「やなぎ句会」を発足した。当日はユーモアあふれる話術を披露、優れた句を選んでもらう。

島根・石見銀山生活文化研究所所長 松場登美さん基調講演

松場登美さん
松場登美さん

二十二日のシンポジウムに登壇する石見銀山生活文化研究所所長でデザイナーの松場登美さんは、一九四九年三重県生まれ。八一年に夫の故郷である島根県大田市大森町に移り、布小物の製造販売を開始、銀山のまちを元気にするイベントを仕掛けてきた。

「復古創新」というコンセプトを掲げて古民家の活用を応援、これまで七軒の再生に携わった。建物だけでなく暮らしの復活に取り組み、地域の歴史を大事に受け継いできた。

ユニークな企画を次々と発信する姿が話題になり、二〇〇三年には国土交通省の「観光カリスマ百選」に任命された。講演では、過疎・高齢のまちが人の力で活性化されていった軌跡を紹介する。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)