《シルクカントリーin桐生》 絹の国俳句ラリー 町並み題材思い思いに句
- 掲載日
- 2009/02/22
桐生の町並みを散策しながら作句する参加者
桐生市本町界隈(かいわい)を散策しながら俳句を詠む「絹の国俳句ラリー」。織物の伝統を脈々と伝える町並みを題材に、参加した五十九人が思い思いの句をひねった。
江戸時代から昭和にかけての住居や蔵、のこぎり屋根工場が立ち並ぶ町並み。初めて織都を散策したという六本木いつきさん(13)=前橋市=は「昔と今の感じが混ざり合ってすてきな街。桐生天満宮の梅が歴史を見続けてきたんだろうなと思って『白梅が見つづけてきた写真館』という句をつくった」
「街並みが未来へ続くパワーあり」と詠んだのは荒井香織さん(19)=みどり市=。旧家を改装、店舗として生まれ変わった建物が目に留まった。「高校時代、桐生に通っていたけど、これまで機会がなくて店に入ったことがなかった。かわいいものがいっぱいあった」と新たな魅力を発見していた。
毎月第一土曜日に開かれている「買場紗綾市(かいばさやいち)」。シルクカントリーin桐生に合わせて特別に開かれ、繊維製品などを扱う出店が並んだ。塚越紀代子さん(71)=太田市=は夫を待たせて、紗綾市でショールを購入、それを句にした。「地場産のものが出ていて楽しかった。春の陽気に誘われて思わず買ってしまった」
紗綾市では、上州座繰りの実演も行われた。繭から細い糸を紡ぎ出す作業を熱心に見つめていた森田千代子さん(80)=みどり市=は「実家は養蚕農家で、母親の姿を思い出して懐かしくなった」。幼き日の記憶を「紗綾市の座繰実演春温し」の句にしたためた。
江戸時代からみそ、しょうゆの貯蔵に使われた蔵が残る有鄰館(ゆうりんかん)。れんが倉庫や蔵がたくさん残る町並みを、高橋和美さん(65)=同市=は「如月(きさらぎ)や絹をまといて蔵の町」と表現。「今も残る建物から織物で栄えた余韻が感じられた」と歴史を感じていた。