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小渕志ちの生涯舞台に 名古屋で12日から 協力者・伊勢松にも焦点 旧富士見村出身、豊橋に製糸会社

旧富士見村出身で愛知県豊橋市に従業員千人を抱える製糸会社を一代で築いた小渕志ち(1847~1929年)とその協力者、中島伊勢松=同村出身=(1831~86年)の生涯が演劇「ひとすじの糸」として12~14日に名古屋市の愛知県芸術劇場で上演される。愛知県では志ちは立志伝中の人物として知られているが、今回は協力者の伊勢松にもスポットを当てた。前橋市に住む伊勢松の子孫らが同県を訪れ、初めて舞台を観賞する。

志ちは座繰りで一家の生計を立てていたが、稼いだ金は夫の酒代に消え、自立を求めて家を出たといわれる。伊勢松は志ちと同郷で、糸繭商として出入りしていた。2人はお伊勢参りを装い出奔、愛知県二川町(現豊橋市)に落ち着き、子女ら数人に座繰りを教えるなどして生計を立てた。伊勢松は同地で「徳次郎」と改名したが、戸籍がないことから懲役刑を受けた。

その際、獄中から志ちに、将来の繭不足を予想してふぞろいの玉繭から糸を引く技術の必要性を伝えたという。伊勢松は獄中死するが、志ちは助言通りにその技術を確立。同工場は玉繭の製糸で大きな利益をあげ、豊橋を蚕都と呼ばれるまでの生糸の一大拠点に押し上げる原動力となった。

古屋祥子さん(79)=前橋市富士見町原之郷=は独自に志ちの生涯を調べ、豊橋市などを訪問。今回の脚本家、馬場豊さんと知り合い、上州弁や出生地の情報提供などで舞台化に協力した。このほど主催者側から、志ちと伊勢松の子孫を演劇に招待したいと連絡が入った。

伊勢松の子孫の男性は「百数十年以上前のことで詳しい事情が伝わっていない。どんな先祖だったのか、知りたいと思い、5人で愛知を訪ねることにした」と話している。

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