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夏場の温度上昇抑制 養蚕家屋の櫓 三田村准教授が排熱効果を報告 「改修は気密性を」 伊勢崎・境島村

養蚕家屋における櫓の効果について報告する三田村さん
養蚕家屋における櫓の効果について報告する三田村さん

通気用の櫓(やぐら)が付いた養蚕家屋が残る伊勢崎市境島村地区で、櫓の排熱効果を調査してきた足利工業大学建築学科准教授、三田村輝章さんの報告会が6日、同市境島村公民館で開かれた。

この調査は地元の住民団体、ぐんま島村蚕種の会の協力で昨年5月から1年間、櫓が残る6軒で実施。櫓が開いた状態の4軒と改修によってふさがれた2軒に温度計測機器を設置して室温を比較した。

三田村さんは、櫓が開いている家の2階蚕室は閉じた家より年間を通して2度ほど低かったことを指摘。特に猛暑だった8月上旬の櫓付近は、櫓を閉じると外気温より5~7度高くなるが、開いている家は外気温とほぼ同じだったことなどを報告した。

一方、冬場は櫓が開いている家では断熱・気密性が失われ、全体に室温が低くなっていたことを明らかにした。その上で「櫓が夏の温度上昇を抑制している効果を実証できたと言える。景観の観点だけでなく、養蚕家屋を改修する場合は櫓の機能を残しつつ気密性を向上させる手法が必要」とまとめた。

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