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古民家で半世紀ぶり養蚕 沼田市重文「南郷の曲屋」 夏休みに繭人形作りも

「南郷の曲屋」で蚕の世話をする鈴木組合長
「南郷の曲屋」で蚕の世話をする鈴木組合長

沼田市利根町日影南郷(ひかげなんごう)の市指定重要文化財「南郷の曲屋(まがりや)(旧鈴木家住宅)」で、ほぼ半世紀ぶりに養蚕が行われている。訪れる観光客などに養蚕が盛んだったころの曲屋の雰囲気を楽しんでもらうのが狙い。曲屋を管理運営する利根町振興公社は「夏休み中には繭を使って、繭人形作りの体験イベントを開きたい」としている。

曲屋は1785(天明5)年ごろに建てられた木造一部2階建ての民家。母屋がL型に曲がっているため曲屋と呼ばれる。同市と旧利根村が2003年から昨年にかけて修復し、一般公開している。

曲屋を所有していた鈴木家は、以前は2階部分と敷地内にある別棟で養蚕を行っていた。上蔟(じょうぞく)など人手が必要な時期は、多い時には近郷から十数人が手伝いに来ていたという。だが、1960年ごろから行われなくなり、南郷地区全体でも約20年前に養蚕は姿を消してしまった。

本年度から曲屋の管理運営を受託している同社は、かつての雰囲気を取り戻そうと養蚕を計画。同地区住民でつくる南郷曲屋管理組合(鈴木章雄組合長)とともに、市外にまで出掛けて飼育台や回転蔟(かいてんまぶし)などを集めたほか、収穫した繭を利用して繭人形作りを行うため、組合員数人が昨年から講習を受けるなど準備を進めてきた。

蚕の飼育は今月6日に始まった。世話は鈴木組合長ら3人が行っているが、3人とも養蚕経験がないため、元養蚕指導員の指導を受けながら、桑取りや桑くれなどの作業に取り組んでいる。鈴木組合長は「数日で2倍以上の大きさに育つ。毎日が楽しみ」と話している。繭は今月下旬に収穫できる見込み。

期間中は機織りや座繰り体験などが行われる。

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