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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

富岡で全国産業観光フォーラム 「世界遺産」テーマに記念対談

世界遺産と産業遺産について語り合う須田さん(右)と城戸さん
世界遺産と産業遺産について語り合う須田さん(右)と城戸さん

◎客と住民触れ合いを 須田さん
◎バリアフリー化提言 城戸さん

産業遺産や稼働中の生産現場などの観光活用策を探る「全国産業観光フォーラム」が22日、富岡市もみじ平総合公園で始まった。全国産業観光推進協議会副会長の須田寛さん(78)と、女優で洋画家の城戸真亜子さん(48)が「世界遺産を訪ねて」をテーマに記念対談。ものづくりの遺産・現場や世界遺産を観光活用している各国のまちの魅力などを語り合った。

須田さんは、世界最古の鉄橋を中心に古い街のたたずまいを保全する英国のアイアンブリッジ峡谷に言及。伝統職人が昔通りの仕事を続け、まちぐるみで産業観光を推進して年間観光客60万人を集めているという。

これを踏まえ須田さんは「日本では観光とまちづくりがミスマッチを起こし、観光客と住民の触れ合いがない」と指摘。「生活そのものが自然な姿で維持され、コミュニケーションの生まれるゆとりがあるのが観光文化。こうした要素が世界遺産になったときに生きてくる」と話した。

城戸さんはクロアチアの世界遺産のまちでの経験を披露。洗濯物を干し終えた住民が手を振って城壁上の観光客を歓迎していた姿や、人々が内戦で壊れた壁をパズルのように復元した努力を紹介した。

富岡市の旧官営富岡製糸場が操業開始当初、労働時間を一日平均7時間45分とし、日曜を休日とするなど工女らの就業環境に配慮していた歴史を踏まえ「ITサービスも活用し、女性も子供もお年寄りも車いすの方も、みんなが楽しくそぞろ歩きできるバリアフリーで一歩進んだ観光地に」と提言した。

この日はまた、産業遺産の研究・活用や、まちづくりに取り組む関係者らが「産業遺産を活用した交流街づくり」など、3テーマの分科会で意見交換した。

フォーラムは各地の観光業者や自治体、商工会議所・商工会関係者ら約650人が参加。23日は世界遺産暫定リスト記載の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産と、稼働中の県内工場、体験工房を組み合わせた四つのモデルコースを約110人が巡る。

産業観光は「見る」「体験する」「学習する」行動を通じ、ものづくりの歴史や面白さに触れる新たな観光形態。フォーラムは2001年から国内主要都市で開かれ、本年度が9回目。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)