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県産絹と和紙で壁紙 天然素材アピール ホテル、住宅に期待 アパートメント・プロ開発 伊勢崎

県産の「キビソ」を使った壁紙を手に、「群馬シルクのブランドを確立したい」と話す武井社長 県産の「キビソ」を使った壁紙を手に、「群馬シルクのブランドを確立したい」と話す武井社長

住宅建築のアパートメント・プロ(伊勢崎市安堀町、武井千秋社長)は絹糸の一種「キビソ」と和紙を使った住宅用の壁紙「ぐんまエコシルク(仮称)」を開発した。上品で温かみのある質感をアピール、天然素材を好むホテルや住宅向けの販路を開拓する。同社は県産シルクのブランド展開を建築業界で進める計画で、旧官営富岡製糸場の世界遺産登録に向け、県内蚕糸業の活性化につなげる。

「キビソ」は製糸の際に、繭から糸口を探るためにすぐり取った糸。製糸工程で絹糸の重量の5~8%が「キビソ」となり、主にファッション雑貨品などに使われている。

「ぐんまエコシルク」は幅1~5ミリと不均一な「キビソ」を緯糸にして編むため、微細な凹凸により独特の質感が出る。和紙に張り、通常の壁紙と同じように施工する。着色や図柄デザインなども容易という。

同社は「キビソ」を編み込んで和紙に張り付ける製法をすでに特許出願している。

同社によると、建築物用の壁紙は約9割が化石燃料由来の製品。「ぐんまエコシルク」は1平方メートル当たり2万~3万円と廉価品の20倍近い高価格だが、健康や環境への関心の高まりから、ワンランク上の天然素材が注目されており「ブランド展開により需要喚起は十分に可能」(武井社長)という。

同社は抗菌性や保湿性など壁紙に適した特性のある「キビソ」を有効活用しようと、今年1月からメーカーの協力を受けて開発に取り組んできた。「キビソ」を提供する碓氷製糸農協(安中市)は「県産糸の新たな活用法が考案されるのは歓迎」としている。

同社は1997年創業。住宅やアパートの施工・販売を手掛け、2009年3月期売上高は約2億5千万円。

武井社長は「壁紙として絹糸の用途を拡大できれば、県内養蚕業を活性化できる。建築業界でも群馬シルクのブランドを確立したい」と話している。

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