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「富岡製糸場と絹産業遺産群」「真正性」「完全性」評価 世界的視点で意見 シルクカントリー国際シンポ

シンポジウムを前に旧官営富岡製糸場を訪れた講師ら一行
シンポジウムを前に旧官営富岡製糸場を訪れた講師ら一行

前橋市内で6日開かれた「シルクカントリー群馬2010国際シンポジウム」には、国内外から産業遺産や絹産業発達史の専門家らが参加、本県の世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、世界的な視点に立って意見を交わした。この日、実際に旧官営富岡製糸場を視察した参加者は、同製糸場の「真正性」や「完全性」などを高く評価。その上で遺産の普遍的な価値を海外で正確に伝えるための工夫など、本登録への課題や対応などについて考えた。

初めに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部特命全権大使を務めた駐デンマーク大使の近藤誠一さんが「世界遺産登録の動向と住民の役割」と題して講演。近藤さんは、07年に世界遺産登録された石見銀山(島根県)、08年に登録延期となった平泉の文化遺産(岩手県)の審議を世界遺産委員会で経験したことを踏まえ、近年の審査の動向を説明した。

両遺産が明暗を分けた理由を「時代の趨すうせい勢を背景にしたメッセージ性」とし、今後日本の取るべき戦略について「価値観は国、文化によって違う。(登録の)基準をよく理解し、主観を離れて、英語などで正確に真意を伝えられるように論理構成することが必要」とアドバイスを送った。

続いて登壇したイタリアの絹産業発達史に詳しい欧州大学院教授のジョバンニ・フェデリコさんは「1860年から1930年の世界市場におけるイタリア・中国と日本の絹」と題して講演。生糸貿易が盛んになった背景や主生産国の変遷など絹市場の歴史を紹介した。

パネルディスカッションは東京大名誉教授で県世界遺産学術委員会委員の石井寛治さんをコーディネーターに開催。パネリストには講演した2氏に国際産業遺産保存委員会ポルトガル代表のジョゼ・マヌエル・ロペス・コルデイロさん、チェコのブルノ工科大建築学部教授のヘレナ・ゼマンコヴァさんを加え、「絹産業を守り伝えるために」をテーマに意見を交わした。

石井さんが産業遺産の普遍的価値について質問したのに対し、近藤さんは「明確な基準は議論中だと思うが、その国の伝統的な技術が国境を超えて世界に与えたインパクトを物理的、科学的に証明できるかにあるのではないか」などと総括した。

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