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丸中と県繊維工業試験場 あせない染色開発 鉱物マラカイトで魅惑の青 ショール来月発売 新製法で特許取得

エメラルドグリーンが美しいショール。固形物はマラカイト
エメラルドグリーンが美しいショール。固形物はマラカイト

繊維製品の丸中(桐生市元宿町、篠田一社長)と県繊維工業試験場は人気の高い青系の染色で、課題の色あせを抑える技術を共同開発した。鉱物のマラカイト=豆字典=を活用。商品化の一歩としてショールを5月末に発売する。現状では絹とカシミヤに対象を絞っているが、今後幅広い繊維への応用も研究する。エメラルドグリーンの発色が美しく、華やかさを演出するアイテムとして普及しそうだ。

色付けは「気流粉砕機」で1ミクロン以下までに粉砕したマラカイトを使う。負電荷を帯びたマラカイトの性質を利用し、布の繊維に薬剤で正電荷を帯びさせ、水中で固着させる。仕上げに特殊なのりでコーティング、摩擦や洗濯による色落ちを防ぐ。

従来の製法で明るい青系の色を出す場合、使用する染料が有機物のため紫外線に弱く、色あせて変色してしまう課題があった。開発過程では、るり色の鉱石、ラピスラズリも試したが、色付きや発色が良かったマラカイトを採用した。

製法は特許取得済み。当面、ショールやストールを試験的に販売し、顧客の反応を見ながら順次対象商品を増やす計画という。

マラカイトをはじめとする「半貴石」は安価でアクセサリーや装飾品向けに人気がある。最近は「パワーストーン」と呼ばれ、専門の販売店も出てきており、色あせ効果に加えて、材料面でも注目されそうだ。

篠田社長は「高級感と割安感を兼ね備えた半貴石が好きな人は多い。服飾品ならより身近に感じてもらえる」と期待する。

同社は1937年創業、50年株式会社化。婦人服地(マフラーやショール、和装小物)が主力。従業員9人。資本金5千万円。

豆字典 マラカイト
含水塩基性炭酸銅を主成分とした鉱物。結晶が繊維状で粉砕しやすく、顔料として古くから利用されている。古代エジプトでは宝石や化粧品として用いられた。日本では「孔雀石(くじゃくせき)」と呼ばれ、日本画の岩絵の具としても使われる。
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