富岡市 「世界遺産」と調和を 景観形成の指針作成へ 市民参加で検討
- 掲載日
- 2010/07/22
世界遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場と調和した街並みや建物などの具体的な在り方、将来像を探るため、富岡市は景観形成ガイドラインを作る。市民が参加し、景観について研究しながら意見やアイデアを出し合う「ワークショップ」を開いて検討。2011年度までの2カ年で建物の形状や素材、色彩などにも踏み込んで「富岡市ならではの景観」(都市建設部)をイメージ図にまとめる。
ガイドラインは建物の新築や改築などの際に参考にしてもらう指針で、「世界遺産にふさわしい街づくり」(同部)につなげる。個々の建物だけでなく、にぎわいの創出を目的に統一感のある通りを目指すなど、面的な広がりを持ったものにする。
定員10人の公募市民、関係地域の住民代表、学識経験者らが行うワークショップは、市内に残る歴史的建造物の視察も行い、ふさわしい景観について理解を深めていく。建物の色や屋根の形、使用する素材なども具体的に盛り込む。
ガイドラインは(1)製糸場周辺特定景観計画区域(約157ヘクタール)(2)特定区域に隣接する住宅地(3)田園集落―ごとに作成する。田園集落は養蚕農家の残る地域など特色ある2カ所を事例研究として取り上げる。
市は昨年10月、市全域を計画区域とする市景観計画を施行。製糸場周辺の約157ヘクタールは、世界遺産化に向けた緩衝地帯(バッファゾーン)と重なる範囲と位置付けて特定景観計画区域とし、建物の高さ制限(14~12メートル以下)や色彩の基準などを設けている。
景観に関する規制や方向性が中心の景観計画に対し、ガイドラインはふさわしい景観を市民参加で考え、イメージを作り上げていくことに重点を置いた。
同部は「市民の意見を取り入れて実効性のあるガイドラインとしたい」としている。