日本古来の染料 世界に 上海万博で「紫草」紹介 あすから石川さん(沼田)
- 掲載日
- 2010/09/19
紫草で染めた作品を手にする石川さん
日本古来の染料である植物「紫草(むらさき)」を紹介するイベント「自然から生まれた 石川紫草色の世界展」(日本古代紫草保存協会主催)が16~19日の4日間、中国・上海万博で開かれる。同協会常任理事で、沼田市利根町の工房で紫草染に取り組む染色家、石川貴啓(よしひろ)さん(59)が染めた着物の展示やファッションショーなどを行う。
紫色は、聖徳太子が定めた冠位十二階で最高位の色とされるなど、古くから日本文化と密接にかかわってきた。紫色の染色には紫草の根が使われてきたが、環境の変化や乱獲で数を減らし、現在は環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)IB類に分類されている。
石川さんは、13年前に東京から旧利根村に移り、工房を構えた。紫草の栽培や作品作りに取り組んでいる。
イベントは平城遷都1300年を記念して開催。石川さんが中心となって企画した。紫草染の着物やアクセサリーの展示をはじめ、紫草染を身に着けたお茶の水女子大の学生による身体表現や、中国東華大モデル科学生のファッションショー、オペラコンサートなど、多彩な催しで日本の紫色を紹介する。
石川さんは「日本の象徴的な色である『紫』を、群馬の絹と一緒に世界の人に知ってほしい」とイベントに込めた思いを語っている。