GM蚕、3件受託 抗体製造や人工血管など 実用化へ開発着手
- 掲載日
- 2010/10/04
蚕糸業の維持存続に向け、遺伝子組み換え蚕(GM蚕)の実用化を推進する県は本年度、新たに人工血管、高機能シルク、診断薬用抗体製造技術の3件の受託開発事業を始める。期間は2~5年間。受託費計1400万円を本年度9月補正予算案に盛り込んだ。
GM蚕は、さまざまな特徴を持つ遺伝子を蚕種に組み込むことで有用物質や高機能の絹糸の生産が可能になる。人工血管は、細胞と融合する性質のGM蚕の繭から引いた糸を使用。独立行政法人の実験で、化学繊維や樹脂で作られた従来の人工血管と違って血栓ができない結果が得られており、実用化されれば世界初となる。
さらに、紫外線を吸収したり水洗いが可能なシルクや、昨年6月に共同研究契約を締結した免疫生物研究所(高崎市)とともに診断薬用の抗体を生産する技術の開発に乗り出す。受託元は農林水産省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。
2000年からGM蚕の研究を進める県はこれまで8件の開発事業を受託、独立行政法人や民間企業と共同研究を行ってきた。GM蚕の実用飼育は年内に始まる見通しで、養蚕農家が県蚕糸技術センター(前橋市)に出向いて飼育する。