GM蚕の飼育始まる 県蚕糸技術センター 前橋の組合が掃き立て
- 掲載日
- 2010/11/17
GM蚕の掃き立てをする飼育組合員
蚕糸業の維持存続のため、県が実用化を進める遺伝子組み換え蚕(GM蚕)の飼育が16日、前橋市の県蚕糸技術センターで始まり、同市の養蚕農家でつくる「前橋遺伝子組換えカイコ飼育組合」が掃き立てを行った。
養蚕農家がGM蚕の飼育に取り組むのは世界でも例がなく、今回は有用タンパク質を生成するよう遺伝子を組み換えられた2種類6千匹を育てる。収繭は12月16~17日の予定で、繭からさなぎを取り出した状態で県と共同研究契約を結んでいる免疫生物研究所(藤岡市)に出荷される。
法律に基づいて閉鎖された蚕室で、白衣にマスク、帽子、手袋を身に着けた3人が慎重な手つきでふ化したばかりのGM蚕を人工飼料の上に乗せた。同組合長の糸井文雄さん(70)は「2種類が交ざらないように気を使った。GM蚕だとやはり緊張する」と話した。
一方、前橋市横沢町の稚蚕人工飼育所ではGM蚕の大量生産を想定し、同組合が非GM蚕3万匹を飼い始めた。県は「将来的にはGM蚕が飼えるよう国の許可を取りたい」としている。