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桐生織物発展や暮らし伝える 「新居家文書」を寄贈 中世後期以降の2323件 市立図書館に子孫 県史や市史資料に活用

亀山市長から感謝状を受け取る新居さん(左)
亀山市長から感謝状を受け取る新居さん(左)

県史や桐生市史などの資料に活用されている「新あらい居家文書」が1日までに、所有する桐生市本町、会社社長、新居康男さん(46)から桐生市立図書館に寄贈された。中世後期以降とみられる古文書など2323件に上る。江戸時代に桐生絹市が繁栄する契機となった開催日変更について記した文書をはじめ、織物業、行政、暮らしの様子などを伝える貴重な資料。内容が明らかになっていない資料も多いことから、同館は「桐生の歴史を知ってもらえるよう活用していきたい」と話している。

同館によると、寄贈されたのは桐生織物発展の由来記や御触書の内容を記した文書、絵図、書状類のほか、江戸時代の奉公人の給金帳、祝儀の記録など幅広く、段ボール箱で36箱分。これまでも県史や市史、桐生織物史などの基礎資料として活用されている。

資料の一つ「桐生市(いち)立替并(ならび)に織物之記」は享保年間(1716―35)に、五と九のつく日に開かれていた桐生絹市を、四と八の日に開かれていた大間々(現みどり市)の市より早い三、七のつく日に変更したいきさつを紹介。高級な織物生産につながる高機(たかはた)導入についても書き記しており、県史に収められている。

新居さんの先祖は戦国時代の桐生城主、桐生氏に仕えた家老の一人で、江戸時代からは絹買い商や織物業で活躍した。新居家文書は代々受け継がれ、近年は地下の物置で保管していた。

市が歴史的資料の散逸防止や所在確認を進める郷土資料調査事業を行っていることから、新居さんに働き掛けるとともに図書館に保管場所を準備。新居さんも「消失するようなことになってはもったいない。内容が明らかになって多くの人に活用してもらえれば」と寄贈した。

市は新年度に専門知識を持つ担当職員1人を採用し、整理と目録作成、調査研究などをしていく。1日は、亀山豊文市長から新居さんに感謝状が贈られた。

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