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蚕糸・絹業支援補助金打ち切りへ 安全、希少性に活路 年度末の対象、3グループ 生糸の値上げ確実 対策迫られる業者

養蚕農家や製糸、織物業者らをグループ化して3年間支援する国の補助制度「蚕糸・絹業提携支援緊急対策事業」=豆字典=で、初年度の2008年度に承認されたグループの補助金打ち切りが3月末に迫っている。本県関係では「日本蚕糸絹業開発協同組合国産シルク研究会」など3グループが該当。来年3月末にはさらに3グループが打ち切り対象となる。安価な外国産生糸との競争など絹産業を取り巻く環境は厳しく、関係者は生き残りをかけて知恵を絞っている。

同制度の繭1キロ当たりの補助金は約3千円。補助金打ち切り後も、農家の所得保証のため繭の買い取り価格は変更できない。負担増のしわ寄せは製糸や織物業者らに及ぶ。打ち切り後は繭の品種にもよるが、生糸1キロで数千円から1万円ほど値上がる見通し。

新年度で補助金がなくなる同研究会は、すでに取引先に値上げ方針を伝えている。会員企業の絹問屋「絹小沢」(高崎市問屋町)は「国産絹の安全性は評価されつつあり、赤ちゃん関連の商品など多ジャンル化に向けた開発を進めているが、売り上げへの影響は避けられないだろう」と受け止めている。

補助金打ち切りの3グループすべてに参加している碓氷製糸農業協同組合は「外国産と価格競争するのは厳しい。『新小石丸』など付加価値の高い県ブランド蚕品種を中心に、国産生糸の希少性をPRしていくしかない」と訴える。

国から補助制度の事業を委託されている大日本蚕糸会によると、国内流通生糸の約9割は中国を中心とする外国産。中国産生糸は昨年、1キロ約5千円台に値上がりし、日本向け輸出量は減少傾向にある。国内絹業者の間では国産を見直す動きもある。

県蚕糸園芸課は「補助金なしの経営は本当に厳しい。日本の養蚕と絹産業を継続するには生産から販売まで一体化したシステムを構築していく以外にない。富岡製糸場の世界遺産登録を進める上でも、生きた養蚕を後世に残すことは重要」と指摘している。

豆字典 蚕糸・絹業提携支援緊急対策事業
純国産絹製品作りを推進し、国内絹産業を存続させることを目的に2008年度から始まった。本年度末まで申請を受け付け、承認されたグループは3年間補助金を受ける。これに合わせ、養蚕農家に繭代金を直接補填(ほてん)した輸入糸調整金制度が07年度末で廃止。移行期間の措置として、グループに未所属の農家には本年度末まで同額の補助金が支払われる。
富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)