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DC前に格安ツアー 富岡製糸、温泉、農業体験… 観光産業支援で県 17回、700人を募集

ツアーの訪問先の一つである旧官営富岡製糸場。県内の貴重な観光資源として関心が高まる=20日
ツアーの訪問先の一つである旧官営富岡製糸場。県内の貴重な観光資源として関心が高まる=20日

東日本大震災の影響で冷え込んだ県内観光産業を支援しようと、県は5~6月にかけて、県内外から観光客を募り、富岡市の旧官営富岡製糸場や各地の温泉地といった観光スポットをめぐる格安のバスツアーを行う。ツアー実施関連費用として、20日に専決処分した4月補正予算に1430万円を計上した。

7月から始まる大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」を前に誘客に弾みを付けるのが目的。危機的な冷え込みから底を打ち、一部に回復の兆しを見せる県内観光関連企業を後押しする。

ツアーは1泊2日で17回実施し、計約700人を募集。参加費は1人1万円で、震災後の落ち込みが激しかった温泉地や農業など体験型の旅行を楽しめるスポットを巡ったり、製糸場をはじめとする県内の絹産業遺産群や文化財を巡るツアーを予定している。  具体的な旅行日程は今後、県から委託を受けた県観光国際協会が詰め、ゴールデンウイーク明けからチラシ広告やインターネットなどで募集する。 DCに反映させるため、ツアー後に参加者から聞いた意見を盛り込んで「体験・滞在型プラン集」として冊子にまとめる。さらに、観光地への誘客を図ろうと「ぐんま観光元気宣言」を発表した。  県観光物産課は「DCの実施される夏は電力不足も予想され、強化策が必要と判断した」と説明している。

◎回復兆しも団体客鈍く  東日本大震災後に宿泊予約のキャンセルが続出した県内の温泉地だが、「復興」をうたった旅行企画が功を奏すなど回復の兆しもある。ただ、企業をはじめとする団体客の動きが鈍く、例年並みに戻るには時間がかかりそうだ。  草津温泉のホテル一井は、今月中旬から大型連休中の予約が急増し、4月29日と5月3~4日は満室になった。担当者は「宿泊費の1%を義援金とするプランが好評だった。ただ、連休が終わってからが勝負」と気を引き締める。  伊香保温泉のホテル木暮は首都圏からの予約が好調のほか、被災地(東北3県)向けの割引プランも用意。四万温泉の四万たむらの担当者は「戻りつつはあるが団体の予約が入らず、例年にはほど遠い」と嘆く。  県旅行業協会は「予約のキャンセルは底を打ったが、新規の申し込みが鈍い。自治体や地域団体が率先して旅行し、機運を高めてほしい」としている。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)