再挑戦の平泉世界遺産に 「登録の流れ加速」 富岡製糸関係者が歓迎
- 掲載日
- 2011/05/08
岩手県の「平泉」が再挑戦で世界遺産に登録される見通しとなったことを受け、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の2013年の世界遺産登録を目指している本県関係者は「登録の流れが加速する」と歓迎している。
平泉は08年のユネスコ世界遺産委員会で「登録延期」とされた。文化遺産を評価する国際記念物遺跡会議(イコモス)の提言をもとに、主題となる浄土思想と関連する6資産にしぼって文化庁が再推薦していた。
県はこれを踏まえ、07年に世界遺産暫定リストへ記載された富岡製糸場と絹産業遺産群の構成資産10カ所を昨年、同製糸場など6カ所にしぼり込んだ。現在、追加予定の1カ所を含めて、ユネスコ世界遺産委員会に提出する世界遺産登録推薦書を最終検討している。
県世界遺産推進課の松浦利隆課長は「中心主題を明確にして、構成資産を精選すれば登録されるのが近年の傾向」と分析。平泉で「柳之御所遺跡」の除外が登録条件とされたことを重視し「除外理由を十分に検討して富岡製糸場の推薦書作成に生かしたい」と話している。
今後は文化庁が、ユネスコやイコモスの動向を判断しながら推薦書に記載する構成資産や提出する時期を決定する。
平泉が登録の見通しとなったことについて、製糸場の地元、富岡市の岡野光利市長も「登録に大きく近づいたと捉えている。市民にも登録推進運動への協力をさらに呼び掛けたい」と歓迎。NPO法人富岡製糸場を愛する会の高橋伸二理事長は平泉と小笠原諸島が同時に勧告されたことを評価。「製糸場は国内で競合している候補があるが、二つ申請しても準備が整っていれば登録が認められるという印象を受けた」と喜んだ。