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境島村養蚕農家群 72棟確認、17棟で実測 重伝建視野に調査報告 伊勢崎市教委

報告する黒津教授
報告する黒津教授

国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)の選定を視野に伊勢崎市教委が2007年から進めていた境島村養蚕農家群調査がまとまり、19日に同市境島村公民館ホールで、住民ら約100人が参加して調査報告会が開かれた。

報告によると、境島村で大型養蚕農家群72棟を確認。うち17棟で建物実測調査を実施した。幕末から昭和初期までに同地区で櫓(やぐら)付きの総2階建て瓦ぶき建物が普及していったことが裏付けられた。また国史跡の申請を目指す田島弥平宅は棟札から1863(文久3)年建築が確認された。 調査に当たった日本工業大の黒津高行教授は「幕末から明治期に形成された景観が大変よく残されている。養蚕農家群だけでなく教会や堤防、石垣など関連する構造物も重要」と強調した。

横浜国立大理工学部の大野敏准教授は「田島弥平宅の香月楼では清涼育の実験がされた可能性がある。後に移築された香月楼を追跡調査する必要がある」と指摘した。

調査に協力したぐんま島村蚕種の会では、田島弥平宅の国史跡指定を優先、後に同地区の重伝建選定について地域合意を図る方針。

山口晃市教育長は「地域住民とよく相談し、大型農家養蚕群の保存を検討していきたい」と話した。

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