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「富岡製糸場と絹産業遺産群」 国史跡目指す田島家住宅(伊勢崎)

養蚕教育機関としての歴史を伝える高山社跡。三つの天窓が養蚕農家の特徴を示す
養蚕教育機関としての歴史を伝える高山社跡。三つの天窓が養蚕農家の特徴を示す

世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産として、県が富岡製糸場のほかに位置付けているのは6件。県世界遺産推進課は「構成資産のさらなる精選が必要」と、絞り込みも検討している。

国指定史跡の荒船風穴(下仁田町)は、明治後期から大正期に荒船山ろくに造られた蚕種(蚕の卵)貯蔵施設。岩から吹き出す冷風を利用した石垣の風穴3基が残る。保管能力は蚕種紙計110万枚で全国から蚕種を預かった。春のみだった養蚕が夏、秋も可能となり、繭の増産につながった。

田島家住宅(伊勢崎市)は、1872(明治5)年に「養蚕新論」を著し、通気を重視する「清涼育」を唱えた田島弥平が63(文久3)年、境島村地区に建てた。総2階建てで換気用天窓を備え、近代養蚕農家建築の標準となった。伊勢崎市教委が国史跡指定に向けて準備を進めている。

高山社跡(藤岡市)は、明治時代に換気と暖房を組み合わせた養蚕法「清温育」を全国に広めた養蚕教育機関「高山社」の発祥地。同社を設立した高山長五郎が養蚕法を研究した明治期の蚕室や母屋、江戸期の長屋門などが残る。2009年に国史跡指定。

富沢家住宅(中之条町)は、江戸後期に建てられたという県内最古の養蚕農家。国重要文化財。木造2階建て、かやぶき、入り母屋造りで間口24メートル、奥行き13メートル。2階を蚕室として使った。

赤岩地区養蚕農家群(中之条町)は、国の重要伝統的建造物群保存地区。明治時代に建てられた出梁(ばり)造りの養蚕農家十数棟を含め、養蚕農家数十棟が良好な状態で残っている。

碓氷峠鉄道施設(安中市)は国重要文化財。1893(明治26)年に造られた旧碓氷線(横川―軽井沢間)の遺構。歯車を使って急勾配を登るアプト式が特徴。第三橋梁(通称・めがね橋)やトンネルなどが、れんがで造られた。養蚕・製糸業が盛んだった群馬と長野を結び、蚕種や繭、生糸を運んだ。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)