上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

上毛新聞社Presents
「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

製糸場を来年推薦 世界文化遺産 14年登録目指す 文化庁に知事要請 「熟度、国内で一番」

近藤誠一文化庁長官(右)に要望書などを手渡す大沢知事
近藤誠一文化庁長官(右)に要望書などを手渡す大沢知事

文化庁は28日、2014年の世界文化遺産登録を目指す本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、国内単独候補として文化審議会に諮る方針を固めた。了承が得られれば、政府は来年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を決定。今月推薦が決まった「富士山」「武家の古都・鎌倉」に続き、登録に挑戦する。大沢正明知事は同日、文化庁の近藤誠一長官を訪れ、公表している同遺産群の構成資産7件をさらに絞り込んだ推薦書原案を提出し、早期推薦を要請した。(関連記事 4面)

ユネスコへの文化遺産の推薦は来年以降、1年に1カ国1件に絞られるため、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」など他の国内候補9件の地元は15年以降の登録を目指すことになりそう。

大沢知事は近藤長官との会談後、「推薦書の熟度が非常に高く、国内候補の中で一番進んでいるという話をいただいた。来年の推薦書提出は大丈夫と確信した」と語った。ただ、推薦書原案の構成資産については「10月の国際会議後に発表する」と語り、資産数については明らかにしなかった。 政府の推薦は、世界遺産暫定リストの中から文化財指定などの準備が整った候補について文化審議会に推薦の可否を諮り、了承が得られれば正式決定する仕組み。富岡製糸場は他の9候補より構成資産の絞り込みや保全計画策定が進んでおり、文化庁は来年、手続きに入ることが可能と判断した。

順調にいけば、14年夏に開かれるユネスコ世界遺産委員会で登録の可否が審査される。  富岡製糸場と絹産業遺産群は、明治政府の殖産興業政策により1872(明治5)年、日本初の官営製糸工場として設立された製糸場と関連遺産で構成。2007年、登録を目指す国内候補の暫定リストに記載された。 専門家で構成する県世界遺産学術委員会は現在の構成7資産を精選する方向を打ち出し、富岡製糸場(富岡市)、高山社跡(藤岡市)、荒船風穴(下仁田町)、田島家住宅(伊勢崎市)までは資産に含めることを確認。海外の専門家を招いた国際専門家会議も絞り込みの必要性を指摘していた。 県世界遺産推進課は「専門家の意見も踏まえ構成資産を絞った案の一つを長官に提出した。最終的な決定は国際会議の合意を得て行う」としている。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)