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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

蚕種製造所跡と西繭倉庫外周 製糸場で発掘調査 富岡市教委

富岡市教委は今月下旬、世界遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場(同市富岡)で、蚕種製造所跡と西繭倉庫外周部の発掘調査を始める。今後の耐震補強工事や保存に向け、地下の状況や基礎構造を確認することが主目的だが、蚕種製造所にあった地下室の位置や規模が発掘によって明確になり、利用目的などを知る手掛かりになることも期待される。

調査は来年3月半ばごろまでの予定。対象となる蚕種製造所跡と西繭倉庫外周部は合わせて3600平方メートルで、このうち340平方メートルを掘削する。

市教委によると、蚕種製造所は1905年に建設された。蚕の品種改良の研究などを手掛けていたが、87年の操業停止に前後して取り壊された。平面図と写真は残るものの、詳細な記録は少ないという。

元従業員への聞き取りなどから、建物のおおむねの位置や地下室があったことは分かっているが、今回の調査で建物の正確な位置の特定、基礎の構造、地下室の位置の確認などが進むとみられる。

西繭倉庫は2009年度、耐震調査に伴い一部で試掘を実施。れんが造りの排水施設とみられる遺構が見つかっている。ただ、地下の排水施設の設計図や記録は残っておらず、建設時期なども不明。今回、外周部の19カ所を掘削することで、全容が明らかになる可能性もある。

市富岡製糸場総合研究センターの今井幹夫所長は蚕種製造所跡の発掘について、「蚕種をどう保管していたが分かっていない。地下室が保管場所であったかどうかなど、製糸場の技術改良の研究が進む」と期待している。

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