製糸場活用に チェコの大学院生が研修 外国人の視点 繰糸工程見学、女工館宿泊 提案
- 掲載日
- 2011/12/06
製糸場内を見学するゼマンコヴァ教授(右から3人目)と学生
産業遺産の再生や活用が専門で、チェコのブルノ工科大建築学部のヘレナ・ゼマンコヴァ教授(69)と同大学院生4人が5日、世界遺産登録を目指す富岡市の旧官営富岡製糸場を訪れ、実地研修を始めた。東繭倉庫や繰糸場などの歴史的な建造物を見て回り、製糸場の活用方法について知識を深めた。
ゼマンコヴァ教授は昨年、前橋市で開かれた「シルクカントリー群馬2010国際シンポジウム」に参加した。その時に初めて訪れた製糸場に興味を持ち、写真や資料を大学に持ち帰って「富岡製糸場改築計画研究部」を結成。学生とともに製糸場の活用方法について研究してきた。
「自然と建築技術が見事に融合している富岡製糸場を見て学んでほしい」と、研究部の24~28歳の大学院生4人を連れて実地研修を実施。学生は繰糸場内で繭から糸を取り出す工程を見学できるようにしたり、外国人宿舎だった女工館に来場者が宿泊できるようにする案などを富岡市の職員に提案した。その後、東繭倉庫や繰糸場、一般公開されていない貴賓室や会議室などを見学した。
学生の1人、ラドヴァン・ゼリックさん(26)は「ここまで建物が完全に残っているとは思わなかった。実際に見て、考え直さなければならない部分が多くあった」と話していた。
製糸場での実地研修は7日まで。8日は桐生市内で、れんが造りののこぎり屋根工場跡を活用したカフェや菓子店を見学する。