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《シルクカントリーin富岡製糸場》換気重視の養蚕技術 田島弥平旧宅(伊勢崎市境島村)

国史跡指定を申請している田島弥平旧宅。屋根には換気用の総櫓が載っている
国史跡指定を申請している田島弥平旧宅。屋根には換気用の総櫓が載っている

換気を重視した養蚕技術「清涼育」を唱えた田島弥平(1822~98年)が、63(文久3)年に建てた大型養蚕家屋。瓦ぶき総2階建てで、清涼育の考えを取り入れて、屋根に換気用の櫓(やぐら)を載せ、四方の壁に窓を設けて通風を良くした。この換気構造は、弥平が清涼育を紹介するため、72(明治5)年に著した「養蚕新論」とともに全国に普及、近代養蚕農家建築の標準となった。

利根川右岸の島村地区は江戸中期以降、蚕種生産と養蚕で栄えた。弥平ら蚕種生産者は幕末の横浜開港後、蚕の微粒子病被害が広がって蚕種が不足していた欧州へ蚕種を輸出。蚕病の流行が収まって輸出量が減少すると、弥平らは79~82年にイタリアへ渡って直輸出した。  旧宅の1階は居住用。蚕室に利用した2階の一角には顕微鏡室を設け、イタリアから持ち帰った顕微鏡を使って蚕病の研究に取り組んだ。

世界遺産登録には、文化財保護法による保護が求められるため、市教委は1月下旬、旧宅の櫓付き母屋、桑場、蚕種を保管した種蔵、表門など14件を含む約4千平方メートルの国史跡指定を求める申請書を文化庁へ提出。この夏には国の文化審議会で了承される見込みだ。

旧宅には弥平の子孫で島村の世界遺産登録を目指す住民団体、ぐんま島村蚕種の会の田島健一会長が居住しているため、見学は市教委文化財保護課(電話0270・63・3636)を通して受け付けている。

25日は蚕種の会が、旧宅と周辺の養蚕農家群で無料解説会を開く。同課は「良好な状態で残る田島弥平旧宅の歴史を多くの人に知ってほしい」と話している。

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