伊勢崎・境の「田島弥平旧宅」 国史跡指定へ 文化審答申
- 掲載日
- 2012/06/16
国史跡指定が答申された田島弥平旧宅
国の文化審議会(宮田亮平会長)は15日、通風と換気を重視した蚕室構造を考案して近代養蚕農家の原型となった「田島弥平旧宅」(伊勢崎市境島村)を史跡に指定するよう平野博文文部科学相に答申した。2014年の世界文化遺産登録を目指す本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成4資産の一つ。唯一、国の指定を受けていなかった旧宅が史跡となることで、7月に予定される文化審議会世界文化遺産特別委員会で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦が了承される見通し。
近く答申通り告示され、県内の国史跡は47件となる。県世界遺産推進課は「本年度の推薦に向けて遺産保護面の条件整備が完了した」としている。 田島弥平旧宅は、幕末から明治にかけて近代養蚕技術「清涼育」を体系化した田島弥平(1822~98年)が、その技術・方法を具体化した場所。弥平は建物の四方を窓にし、越屋根の櫓(やぐら)を載せて空気を循環させる瓦ぶき総2階建ての蚕室を考案した。旧宅には1863(文久3)年に建築された母屋兼蚕室や桑置き場、蚕種を保管した種蔵などが残り、近代養蚕業の技術展開を知る上で貴重と評価された。史跡面積は約4010平方メートル。
現在は弥平の子孫の田島健一さん(82)が個人宅として使っている。伊勢崎市が史跡管理団体となり、見学は市教委を通じて対応している。五十嵐清隆市長は「答申は、旧宅はもとより、あらためて島村の歴史的価値が認められたもので、本市にとって誇らしく喜ばしい。県と一体となり世界遺産登録を一層推進していく」とコメントした。
3年前に国史跡に指定された4資産の一つの高山社跡(藤岡市高山)に隣接する屋敷神周辺などの追加指定も答申された。