市民歓喜の輪 「世界の宝」思い新た 絹遺産群を推薦
- 掲載日
- 2012/07/13
世界遺産へ推薦決定を受けくす玉を割る大沢知事(右)と松本耕司県議会議長=県庁
夢の実現までもう少し―。本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」が本年度の世界遺産推薦候補に決まった12日、関係者に喜びが広がった。富岡市の富岡製糸場には登録運動を支えてきた市民ら100人が集まり、横断幕を掲げて祝福した。県庁でも記念セレモニーが行われ、大沢正明知事らがくす玉を割り、世界遺産登録への前進を祝った。
◎富岡製糸場でセレモニー
午後5時半すぎ、推薦決定を告げる花火の音が鳴り響くと、製糸場の東繭倉庫前で待機していた人たちから拍手がわき起こった。
岡野光利市長は「2014年の世界遺産登録という夢の実現に向け大きな一歩。郷土の宝が世界の宝となるのは誇りだ」と待ちに待った知らせを喜んだ。登録までの環境整備について、「百里を行く者は九十を半ばとす、という言葉がある。観光客の受け入れ態勢などを一つ一つ整えたい」と気を引き締めた。
製糸場には年間約20万人が訪れており、推薦決定でさらに注目が集まる見込みだ。NPO法人富岡製糸場を愛する会の高橋伸二理事長(71)は「世界遺産になれば世界中から年間100万人が訪れるだろう。誇れるまちづくりのため努力する」と力強く語った。
市の関係者や養蚕農家をはじめ、絹遺産の価値を広く啓発してきた人びとがセレモニーを見守った。
世界遺産への推薦決定を受けて、富岡製糸場で万歳する関係者
製糸場研究の第一人者、富岡製糸場総合研究センターの今井幹夫所長(78)は「世界に誇れる建物を守り続けた関係者に感謝したい」と安堵(あんど)の表情。製糸場解説員の会の関利行会長(83)は「なぜ世界遺産になりうるのか、価値をしっかり伝える使命がある。さらに学び、分かりやすい解説に努める」と意気込んだ。
一方、県庁でも午後6時から記念セレモニーが開かれた。大沢知事は「世界遺産登録に向けて、大きな扉が開かれた。来年のイコモスの現地調査をはじめとして、厳しい審査があるが、みなさんとしっかりと連携し、登録に向けて取り組んでいきたい」と呼び掛けた。