ユネスコ推薦 23日政府決定 富岡製糸場と絹産業遺産群
- 掲載日
- 2012/08/21
2014年の世界文化遺産登録を目指す本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、文化庁は20日、政府として国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を決める世界遺産条約関係省庁連絡会議を23日に外務省で開くと発表した。省庁連絡会議を経て国の代表として正式に推薦される。
先月開かれた国の文化審議会の世界文化遺産に関する特別委員会と部会で、推薦は順次認められ、文化庁段階で推薦書(暫定版)の提出は内定していた。
部会後に文化庁からの指摘を受け、県世界遺産推進課は暫定推薦書の細部を手直しするとともに、推薦書に含まれる構成資産の包括的保存管理計画について改訂。21日に県庁で開く関係4市町との第2回県世界遺産協議会で計画についての了承を得る。
同課は「絹遺産を全国に理解してもらう活動やイコモス(国際記念物遺跡会議)の現地調査対策、登録後を見据えた観光客対策にも取り組む必要がある」と気を引き締める。
省庁連絡会議は文化庁、外務省のほか、環境省、林野庁、水産庁など7省庁で構成。推薦が決まれば、9月末までに暫定推薦書をユネスコに提出。形式審査を通過後、再び暫定版と同様な国内手続きを経て正式版の内容をより完全なものに仕上げ、来年1月をめどに提出する。
文化庁記念物課は「省庁連絡会議で『富岡製糸場と絹産業遺産群』の価値を説明して、暫定版の推薦書の提出を検討する。提出が決まった後も、推薦書の内容は正式版の提出まで精査していくことになる」としている。
正式版の提出後、来年夏ごろにユネスコ諮問機関のイコモスが同遺産群の構成4資産の保存管理状況などを現地調査し、14年夏のユネスコ世界遺産委員会で世界遺産登録の可否が審議される。
同遺産群は、明治政府がフランスから近代製糸技術を導入して1872(明治5)年に設立した富岡製糸場を中心に、製糸場と連携して繭生産に貢献した養蚕関連の田島弥平旧宅(伊勢崎市)、高山社跡(藤岡市)、荒船風穴(下仁田町)で構成。高品質な生糸の大量生産を実現し、絹の大衆化をもたらした近代の養蚕、製糸分野での技術革新と国際交流を世界遺産としての顕著な普遍的価値に掲げている。