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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

緩衝地帯で景観保護 4資産 保存管理計画を了承 県世界遺産協

2014年の世界文化遺産登録を目指す本県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、県は構成4資産を将来まで保存活用していくための包括的保存管理計画をまとめ、21日に県庁で開かれた第2回県世界遺産協議会で関係4市町に示した。各資産周辺に緩衝地帯を設けてエリア内の建築物の高さや色を規制し、環境や景観を保護する手法などを盛り込んだ。各市町は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する暫定推薦書に計画を含めることを了承した。

ユネスコは、複数の構成資産の保存手法についてまとめた包括的保存管理計画の提出を求めている。計画は、ユネスコの諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が推薦資産を現地調査する際の資料となる重要な役割を持つものだ。

計画は、推薦書に含めるため非公開だが、県世界遺産推進課によると、各資産そのものの保存管理と緩衝地帯の保全を中心に、県や市町の組織体制、自然災害への対応、世界遺産登録後に観光客が増えた場合の対処法など行動計画も明記した。冒頭の理念では、4資産とともに県内に残る多くの絹遺産を保存活用することを盛り込んだ。

個別の対応では、荒船風穴周辺の気温をモニタリングして崩れた石垣を元通りに積み直すことを明記。富岡製糸場周辺は、条例で製糸場の高さ14メートル以下に周囲の建物を制限することを記している。

絹産業遺産群は、23日に外務省で開かれる世界遺産条約関係省庁連絡会議で政府として推薦を正式決定する。その後、9月末までにユネスコに暫定推薦書、来年1月をめどに正式版を提出し、14年夏のユネスコ世界遺産委員会で登録の可否が審議される。

同課は来夏ごろのイコモスの現地調査に向けて「各資産の整備や清掃を行い、素晴らしさがより伝わるよう国、県、市町がスクラムを組んでハードルを越えていきたい」と話している。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)